実家には今年13歳になるマルチーズのムーがいる。
コイツは世界一の臆病者でありながら、実家では『自分が一番かわいくて、一番偉い』と思い込んでいる。

どのくらい臆病者かというと、転がってくる空き缶が怖いくらいの臆病者なのだ。
そんな臆病者のくせに、大変かわいがられて育ったせいか、自分が一番かわいくないと気がすまない。
まぁ確かに今まではムーがこの家の中で一番小さかったし、一番かわいかったからそう思い込むのも仕方が無い。

ところが、そこに私がちびっちを連れて里帰りしたもんだからえらいことになった。
家中の人間の視線が『ムー』から『ちびっち』へ向いてしまったのだ。

こんなことをムーが許せるわけが無い。
しかしムーは世界一の臆病者。
転がってくる空き缶が怖いようなやつが、たとえ寝たきりで泣くしかできないちびっちでも立ち向かっていく勇気など無い。
…そう思って安心していたのだ。

確かに立ち向かって勇気などムーには無かった。
ただしムーは違う方法で『ちびっち追い出し作戦』を決行した。

…それは犬独特の方法、そう『マーキング』をし始めたのだ。

私やちびっちが部屋を出た隙に部屋に入り込み、布団におしっこをする。
…最初はただの粗相かと思った。
でもムーはかなり厳しくトイレのしつけをされていること、そして必ずちびっちのいる場所にしかしないこと、このことを見てもこの行動は『縄張り確保のためのマーキング』にしか思えない。

しかしそんなことをしても、ムー以外全員が人間であるこの家の住人には通用するわけもない。
こっぴどく怒られて、損をするだけのムー。

…でもなんだかかわいそうになってきた。
だってムーはこの家で13年もの間、かわいがられることだけが使命で生きてきた犬。
最近はしっぽを下げていることが多い。
…さびしいんだろうなぁ。

そんなこんなで私の体調もずいぶん戻ってきたことだし、今週の日曜日にお引越しをすることに決めた。

元の元気なムーに戻りますように。

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