婚約者は建築金物の設計の仕事をしている。
元々住宅の設計事務所に所属し、その後現場の仕事を知りたいと現場監督の仕事や営業の仕事を経て、今の仕事についている。
将来は自分で会社を起こすのが夢らしい。

私が知る限り、彼は決してまじめなほうではない。
どちらかと言うと要領の良さと運だけで人生を乗りきってるのでは?というふしもある。

そんな彼だが誰にも無いような才能がある。
それは『発想力』である。

『これはこうすれば使いやすいんではないか?』とか
『安全に、便利に使うためにはどうすればいいか?』など何に関してもそういう考え方をする。

実際今の会社でもいろいろな製品を開発し、特許も申請中だ。
結構画期的な発明らしく公団関係の建物には標準仕様として設置することにもなった。

…でもこの開発で彼は一銭も儲けていない。
特許の申請は会社で行ったからだ。
その申請には勿論開発者の彼の許可が必要なのだが勉強不足な彼は社長に言われるまま書類にハンコを押してしまった。

後日『俺の開発した商品が特許申請されてん♪その時に社長が「ハンコいるやろ?」ってハンコも作ってくれてん♪』と自慢げに話してくれた。
…どうやら彼は自分のアイデアをハンコひとつで売ってしまったらしい。

それがどういうことか説明すると彼は憤慨し、次の日社長と大喧嘩した。
でも結局言いくるめられて今に至っている。

そんな話も忘れかけた昨日、彼が『またいいこと思いついた♪』と話してくれた。

それは私たちがよくある日常で昔っから『不便だなァ』と感じていながら、形が変わらなかったあるものに簡単な細工でその不便が解消されるという画期的なアイデアだった。

『確かにコストもそんなにかからないと思うし、みんなが喜ぶものだから売れると思うよ♪』というと彼はウキウキ♪

…でも自分で特許を申請できない限りきっとまた社長を喜ばせるだけなんだろうなァ。
彼はいつ大金持ちになるんだろう??

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